射撃訓練は、自衛官として必須の「基本戦闘技能」の一つです。予備自衛官補の訓練期間でも、数日は射撃に関する講習や実技が組まれています。
- 小銃の名称・部品の説明
- 分解・結合の訓練
- 射撃姿勢の習得(伏せ撃ち、膝撃ちなど)
- 空砲での予行演習
- 実弾射撃
これらを順を追って習得していきます。最初は恐怖心もありましたが、段階的に学習することで徐々に慣れていきました。
51歳で予備自衛官補になった体験談シリーズ
一生忘れられない銃器との初対面、実弾射撃の緊張と興奮
射撃訓練は、自衛官として必須の「基本戦闘技能」の一つです。予備自衛官補の訓練期間でも、数日は射撃に関する講習や実技が組まれています。
これらを順を追って習得していきます。最初は恐怖心もありましたが、段階的に学習することで徐々に慣れていきました。
日本の自衛隊が使用するのは89式小銃(現在は20式小銃も配備中)。重さは約3.5kg。持ってみると想像以上にずっしりきます。
まず最初に習うのは「銃は常に実弾が入っているものとみなせ」という鉄則。空の状態でも、絶対に人に向けてはいけません。銃口の方向、指の置き方、取り扱いの姿勢――一つひとつ徹底的に叩き込まれます。
「銃はおもちゃじゃない」という緊張感が、教官の目つきからも伝わってきます。一瞬の油断が重大な事故につながることを痛感しました。
小銃は使用後に必ず清掃するため、分解・結合を覚える必要があります。最初は部品が多すぎて頭が混乱しました。バネが飛び出して慌てる人もいます。
しかし、班で繰り返し練習するうちに自然と手が動くようになり、「軍人らしくなってきたな」と実感できる瞬間でもあります。手順を覚えることで、銃器の構造や仕組みも理解できるようになりました。
部品を置く順番を決めて、必ず同じ配置にすること。これで組み立て時の混乱を防げます。
射撃にはいくつかの姿勢があります。
最初は伏せ撃ちから始めますが、肘や頬を銃床に押し当てるので、固さと重さで結構痛いです。ここで役立ったのが肘あて(サポーター)。支給品ではなく市販のものを持参すると快適度が格段に上がります。
長時間同じ姿勢を保つ必要があるため、普段使わない筋肉が痛くなります。事前の体力づくりが重要です。
いよいよ迎えた実弾射撃の日。射場に並び、教官の指示に従って弾倉を装填。安全装置を確認し、的を狙います。
引き金を引いた瞬間――
「パンッ!!!」と耳をつんざく銃声と、肩にズドンと響く反動。映画で見るよりもはるかに大きな音と衝撃に、思わず体がびくっとなります。
ここで必須なのが耳栓とアイプロテクション(保護メガネ)。耳栓をしていないと鼓膜がキーンと鳴り続けます。私は持参した耳栓に本当に救われました。
最初は狙っても全然当たりません。的の中心を狙ったはずが、弾は大きく外れていたり、そもそも紙の外に飛んでいたり。
しかし、教官から「呼吸を止めた瞬間に撃て」と指導を受けると、命中率が一気に上がりました。呼吸と引き金を引くタイミングの一致が重要だと身をもって理解しました。
照準を合わせる際は、息を吸って、半分吐いて、そこで止めて撃つ。これで手ブレが最小限になります。
射撃訓練を経験すると、「銃」という存在を軽く扱えなくなります。単なる武器ではなく、命を奪う力を持つもの――その重さを実感しました。
一方で、「的に命中した」という達成感は格別です。班員同士で「当たった?」「俺は真ん中行ったぞ!」と盛り上がり、少しだけ童心に返る瞬間でもありました。
銃器への恐怖心が薄れる一方で、その危険性をより深く理解するようになりました。この矛盾した感情こそが、責任感の芽生えだったのかもしれません。
射撃訓練で学んだのは、単に銃の扱いだけではありません。
これらは、普段の生活や仕事にも通じる教訓でした。また、チームワークの重要性も改めて実感。射撃は個人技能ですが、安全確保は全員の協力があってこそ成り立ちます。
射撃訓練は予備自衛官補のハイライト。初めて小銃を手にしたときの緊張感、実弾を撃ったときの衝撃、そして命中したときの喜び――。そのすべてが一生の思い出になります。ただし、射撃は危険を伴う訓練でもあります。だからこそ準備と持ち物が重要。銃器への正しい理解と敬意を持ち、安全第一で臨むことが何より大切です。この体験を通して、命の重さと平和の尊さを深く考えさせられました。
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