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51歳で予備自衛官補になった体験談シリーズ

第7回:野営訓練とテント生活

山場となる野営期間、自然の中での寝泊りから野外炊事まで

予備自衛官補の訓練で「山場」といえるのが、野営訓練(フィールド訓練)です。普段は営舎(宿舎)で生活しますが、この野営期間だけは自然の中で寝泊まりし、食事も野外炊事。まさにサバイバルさながらの体験となります。快適な日常生活では決して味わえない不便さとの戦い、そして仲間との絆が深まる貴重な時間でもあります。

🎯1. 野営訓練の目的

野営訓練の目的は、実際の戦闘や災害派遣を想定して「野外での生活力」を身につけることです。

  • テントの設営・撤収
  • 野外炊事(戦闘糧食の準備)
  • 夜間警戒(交代で見張り)
  • 簡易行軍

これらを仲間と協力してやり遂げることが求められます。個人の力だけでは完遂できない、チームワークの重要性を学ぶ訓練でもあります。

2. テント設営のリアル

野営地に到着すると、まずはテント設営。自衛隊式のテントはかなり大きく、班全員で協力して建てます。

杭を打ち、ポールを立て、シートを張る――一見簡単そうに見えますが、風が強いとシートがバサバサとはためき、ポールを支えるのも一苦労です。

🧤このとき役立ったのが軍手とペグハンマー代わりの丈夫な工具

支給品はありますが、自分用のしっかりした手袋を持っていくと圧倒的に作業しやすいです。

🏠3. テント内の生活

設営が終わると、いよいよテント生活の始まりです。床は当然ながら硬い地面。薄いマットを敷くだけなので、腰や背中が痛くなります。

ここで重要なのが寝袋(シュラフ)。夏場でも夜は冷えることが多く、寝袋なしでは体を冷やしてしまいます。私は「持ってきてよかった」と心から思いました。

さらに必須なのが耳栓アイマスク

  • 耳栓 → 仲間のいびき対策
  • アイマスク → テント外のライトや朝日対策

これがあるだけで睡眠の質が段違いです。

🍛4. 野外炊事と食事

食事は、班ごとに準備される「戦闘糧食(レトルトパック)」が中心です。ご飯とおかずがパックされており、湯せんで温めて食べます。

カレー、牛丼、鯖味噌煮などバリエーションはあるのですが、数日連続で食べると正直飽きます(笑)。

🍚ここで活躍したのがふりかけインスタント味噌汁七味唐辛子

味に変化をつけるだけで、食欲がグッと戻りました。

🌙5. 夜間警戒(見張り)

野営訓練のハイライトともいえるのが、夜間警戒。班ごとに交代で「番」をします。夜中の1時〜3時担当に当たったときは、本当に眠くて地獄でした。

  • 暗闇の中で周囲を見張る
  • 不審者が来ないかチェック
  • 無線で連絡

実際には何も起きないのですが、真夜中の山奥で一人きりになると、想像力が暴走して妙に怖くなります。木々の揺れる音すら敵兵の気配に思えてしまうのです。

🔦このとき必須なのが懐中電灯(ヘッドライト推奨)

両手が空くので作業がしやすく、暗闇でも安心できます。

😣6. テント内での苦労

野営訓練は想像以上に「不便」との戦いです。

特に虫対策は重要で、持っていない人は夜中に刺されまくり、翌日顔がパンパンになっていました。

🤝7. 仲間との距離が縮まる

不便な生活を共にすると、不思議と仲間との距離が縮まります。「寒いな」「腹減ったな」と言いながら夜空を見上げた時間は、今でも忘れられません。

普段は「上下関係」や「規律」で厳しい雰囲気ですが、テント内では少しだけ緩み、笑い話をしたり家族のことを語ったりする場面もありました。この体験こそが、野営訓練の真の価値だったと思います。

🌧️8. 初めての雨天野営

ある夜、突然の豪雨に襲われました。テントの隙間から雨が吹き込み、地面がぬかるみ、寝袋が湿っていく……。「もう最悪だ」と思いましたが、これも実戦を想定した訓練の一部。

💧ここで役立ったのが防水バッグ替えの靴下

濡れた靴下のまま翌日行軍するとマメが悪化して地獄を見るので、乾いた靴下を守ることは命に関わるほど重要です。

💪9. サバイバル力が身につく

数日間の野営を経験すると、普段の「便利な生活」がどれほど恵まれているか痛感します。

  • 温かい布団で眠れる
  • 蛇口をひねれば水が出る
  • 電気をつければ明るい

こうした当たり前が、どれだけ有難いか。野営訓練は体力だけでなく、「感謝する心」を育ててくれるのです。また、限られた道具と環境で生活する知恵も身につきました。

🔥10. 野外炊事の技術習得

野営期間中は、簡易コンロを使った野外炊事も学びます。風で火が消えやすく、湯沸かし一つでも一苦労。普段何気なく使っているガスコンロのありがたさを実感しました。

戦闘糧食の温め方にもコツがあり、お湯の温度管理や時間配分を間違えると、中が冷たいままということも。仲間と協力して効率良く食事の準備をする段取り力も重要でした。

まとめ

野営訓練とテント生活は、予備自衛官補の訓練の中でも最も過酷で、そして最も思い出に残る時間です。寒さ・暑さ・虫・不便さ――数々の困難に直面しますが、それを仲間と共に乗り越えた経験は、日常生活では決して得られない宝物になります。サバイバル技術だけでなく、困難な状況下でも冷静に対処する精神力、そして何より仲間との絆を深める貴重な体験でした。