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51歳で予備自衛官補になった体験談シリーズ

第6回:体力錬成と走り込み地獄

炎天下での持久走から階段地獄まで、体と心を追い込む過酷な体力訓練

予備自衛官補の訓練で避けて通れないのが、体力錬成です。小銃の取り扱いや規律の習得も重要ですが、それらを支えるのはやはり体力。基礎体力がなければ、行軍や射撃、さらには日常の訓練そのものが地獄と化します。ここでは、私が実際に体力錬成で経験した「走り込み地獄」、そしてその過酷さの中で得た学びを、体験談としてお伝えします。

📊1. 朝の体力測定から始まる

訓練初期に行われるのが体力測定。内容はシンプルで、腕立て伏せ、腹筋、3km走などです。

特に3km走では、普段運動をしていない人が早くも苦しみます。「走るなんて何年ぶりだろう」――そんな仲間がゼーゼー言いながら遅れていく姿を見て、「これは甘くないぞ」と実感しました。

👟ここで活躍したのがランニングシューズ

支給の戦闘靴は丈夫ですが、重くて走り込みには不向き。事前に走り込み用の靴を準備しておくと安心です。

🏃2. 走り込みの基本メニュー

体力錬成の中心は、やはりランニング

  • 朝ラン(2〜3km)
  • 午後の持久走(5〜10km)
  • 時には行軍(20kg背負って10km以上)

「え?これだけ走るの?」と驚くくらいの頻度で走ります。特に炎天下での走り込みは、体力だけでなく精神力を削られる過酷なもの。

🌞3. 炎天下の地獄ラン

ある日の午後、気温30度を超える中で5km走が課されました。走り始めてすぐに汗が滝のように流れ、口の中がカラカラになります。

「水分を取りすぎるな!胃に残ると動けなくなるぞ!」

班長の声が飛ぶ中、ただ前を見て走るしかありません。途中で歩きたくなる気持ちを必死に抑え、仲間と声を掛け合いながらゴールを目指しました。

💧このとき役立ったのがスポーツドリンクの粉末タイプ

訓練中は基本的に水しか支給されませんが、休憩時間に粉末を溶かして飲むと回復力が違いました。

👥4. 隊列を乱す恐怖

走り込みでは、ただ走るだけではありません。隊列を組んで走るのが自衛隊流です。誰か一人が遅れると、隊全体のリズムが崩れます。その結果、全員でペナルティとして追加ランを課されることも。

私の班でも、一人が遅れたせいで「もう一周!」と言われ、全員が苦しむ羽目になりました。責任の重さを肌で感じた瞬間です。

🏢5. 階段地獄

ランニングだけではなく、基地内の階段を使ったトレーニングもあります。数十段の階段を全力で駆け上がり、すぐに駆け下り、再び駆け上がる――これを何十回も繰り返すのです。

膝や太ももが悲鳴を上げ、息は上がり、視界が白くなるほど。倒れそうになる仲間もいましたが、「あと一回!」「頑張れ!」と声を掛け合うことで、なんとかやり遂げられました。

💨6. 持久走のカギは呼吸とペース配分

最初はただがむしゃらに走っていた私ですが、何度も走るうちに気づきました。「呼吸とペース配分を意識すれば、ずっと楽になる」

🎯コツを掴むための3つのポイント

  • 息を吸うよりも吐くことを意識する
  • 最初から飛ばさず、後半に余力を残す
  • 仲間とリズムを合わせて走る

この3つを実践するだけで、記録も安定し、体の負担も減りました。

🤝7. 体力不足の仲間を支える

全員が運動経験者ではありません。むしろ、体力不足で遅れる仲間の方が多いのが現実です。ある日、最後尾で遅れる仲間に声をかけ、並走してゴールしたことがありました。自分一人が楽をするよりも、仲間を支えたほうが「班の一体感」が強くなるのです。

これは後に「予備自衛官補の訓練で最も大切なのは仲間を見捨てないことだ」と強く感じた瞬間でした。

🩹8. 怪我との戦い

走り込みで怖いのは怪我。特に膝や足首を痛める人が多いです。私も途中で足首をひねり、テーピングをしながら走ることになりました。

🏥そこで役立ったのがテーピング用テープ湿布

これがあるだけで、その後の訓練がどれほど楽になったか計り知れません。

💪9. 精神力を鍛える時間

体力錬成は、単に筋肉や持久力を鍛えるだけではありません。「限界を超える精神力」を育てる訓練でもあります。

  • 苦しい時に一歩踏み出す勇気
  • 仲間を励まし合う連帯感
  • 困難を乗り越えた達成感

これらは机の上では学べない、「走ってこそ得られる力」でした。

まとめ

予備自衛官補の体力錬成は、想像以上に過酷です。走り込み、階段、行軍――どれも体と心を限界まで追い込みます。しかし、その先には「仲間との絆」と「自分を超える達成感」が待っています。そして何より、訓練を乗り切った後の日常生活で「ちょっとした困難なんて大したことない」と思える強さが身につきます。