訓練数日目、いよいよ「89式小銃」を手渡される日がやってきます。初めて見ると、その大きさと重さにまず驚きます。全長約92cm、重量約3.5kg。数字で見ると大したことないように思えても、実際に担ぐとズシリとした存在感があります。
「これが自衛官の象徴か…」
そう感じた瞬間、背筋が自然と伸びました。
51歳で予備自衛官補になった体験談シリーズ
89式小銃を手にした瞬間から実弾射撃まで、緊張と興奮の射撃体験
訓練数日目、いよいよ「89式小銃」を手渡される日がやってきます。初めて見ると、その大きさと重さにまず驚きます。全長約92cm、重量約3.5kg。数字で見ると大したことないように思えても、実際に担ぐとズシリとした存在感があります。
「これが自衛官の象徴か…」
そう感じた瞬間、背筋が自然と伸びました。
射撃訓練といっても、いきなり弾を撃たせてもらえるわけではありません。まずは分解結合(フィールドストリッピング)を徹底的に学びます。
最初は部品の名前も分からず、右往左往するばかり。班長に「そこは遊底覆いだ!」と叱られる場面もありました。しかし、繰り返すうちに手が覚え、1分以内に分解結合できるようになります。
👉 分解結合のときに役立つアイテム:
予備自衛官補 訓練に必要な持ち物リスト射撃の前に学ぶのが姿勢。
特に伏射は最も安定して命中率が高い姿勢とされます。地面に頬をつけるような感覚で銃を構えるのですが、最初は土や砂利が顔に当たり、痛くて集中できません。
ここで役立ったのが肘用のサポーター。地面に肘をつけるので擦りむきやすいのですが、サポーターがあるだけで快適度が段違いでした。
いよいよ射撃場へ。耳栓を装着し、安全確認を受け、弾倉が配られる瞬間――緊張感は最高潮に達します。
「装填!」という号令のあと、初めて実弾を薬室に送り込む音を聞いたとき、空気が一変しました。普段の訓練とはまったく違う「戦場のリアルさ」を感じた瞬間です。
「撃て!」
号令とともに引き金を絞ると、
――ドンッ!
腹に響く衝撃音とともに、銃が跳ね上がります。映画で見るよりも、ずっと重く鋭い音。
最初の数発は的にかすりもしませんでした。引き金を引くときのわずかな力みで照準がズレるのです。
班長から「呼吸を止めるな、吐きながら撃て!」と指導を受け、徐々に命中率が上がっていきました。
射撃訓練では「命中精度」が記録されます。一定以上の得点を出さなければ合格にならず、再訓練が必要になることも。
私の班でも、何度撃っても当たらず涙ぐむ人がいました。そのとき班員全員で励まし合い、「次はいける!」と背中を押したのを覚えています。射撃は単なる技術訓練ではなく、「仲間と支え合う試練」でもあるのです。
射撃が終わったあと、さらに大変なのが小銃の清掃。火薬で銃身が汚れるため、徹底的に掃除をしなければなりません。ブラシで擦り、油を塗り、部品を点検――これを怠ると錆びや故障の原因になります。
夜遅くまで小銃を磨いていると、部屋中が「銃油の匂い」で充満します。慣れないうちは気分が悪くなる人もいました。
👉 清掃時に活躍するアイテム:
予備自衛官補 訓練に必要な持ち物リスト射撃訓練を終えて私が得た学びは、単に「銃を撃てるようになった」という技術ではありません。
これらはビジネスや日常生活にも通じるものでした。
多くの人が感じるのが「銃は人を殺すための道具だ」という現実。撃つたびに、命の重さを意識させられます。この恐怖心を乗り越えることで、逆に「戦争を起こしてはいけない」という思いが強くなりました。
銃という武器を扱うことの重さを理解し、平和の大切さを改めて実感する貴重な体験でした。
回数を重ねるうちに、少しずつコツを掴めるようになりました。
最初は10発中2発しか当たらなかった私も、最終的には7発は的に当てられるようになりました。わずかな上達でしたが、その成長を実感できた瞬間は格別でした。
射撃訓練は、予備自衛官補にとって最も印象的で、最も緊張する体験です。初めての小銃との出会いは、単なる技術習得ではなく「命と向き合う時間」でした。この体験を通じて得た冷静さ、謙虚さ、協調性は、その後の人生において大きな財産となっています。
👉 訓練を快適に乗り切るための持ち物はこちら:
予備自衛官補 訓練に必要な持ち物リスト